5. デメリット
Pixabay
5.1 写真が撮れない
正直これが一番だと思います。
普段から知らない景色というものへの憧憬が強く、多くの被写体に目を向けてきました。Adelaideに着いた後もフォルダは増えるばかりでしたが、パッタリと記録が途絶えました。
外国というなかなか戻ってきづらい場所のメモリーが無いのは辛かったですし、瞬間というアートを他者と共有することができないもどかしさはありました。
しかし、「写真を撮ってハイ終わり」っていう行動が減り、一つひとつを目で手で感じることが以前にも増して楽しくなったのも事実です。
5.2 音楽が聴けない
- 衝動的に重低音が欲しい時
- 感傷的に浸ってバラードを口ずさみたい時
音楽は1日を形成するのに必要なものだと私は考えます。また、何気なく歩く通学路や壮大なパノラマが広がる山頂でなど、不意に流したくなる音楽も沢山あります。
しかし、聴く媒体がなければ我慢しなければならないですし、初めのうちは聴きたい欲求が襲ってきますが、数週間経つ頃にここでも思考の変化が起きます。
人の会話や何気ない日常の音が楽しくなります。不意に耳に入ってくる音が、ここにしかない無二なものであると考え、誰かの作った音楽は家で楽しむだけとなりました。
確かに気分の浮き沈みにも関わる音楽を失うことは辛いですが、人為的な音ではない自然な物を吸収することって結構面白くないですか?
5.3 生活のアナログ化
初めての場所へ向かう際には、Mapが欠かせませんよね?
ある日、仕事の面接に行く前日に予め簡易的な地図を手書きで用意することで乗り切ったことがあります。如何せんポンコツに地図機能がなかったからです。近づいたなと感じたら電話で直接伺うなり、街ゆく人に聞いたりしてどうにか指定の場所に行っていました。
Mapを使わずして目的地にたどり着くことの快感は今だに忘れません。
他にも、17時に Harry’s Bar 前集合でしたら、少なくとも5分前には付いているように逆算して行動していました。SMSにも回数制限があり頻繁に使えたわけではないので、できるだけ使用しないよう心掛けていた結果です。待ち合わせ場所を電話で確認して時間になったら集合するといった、幼少期のような懐かしさを覚えニヤニヤすることも多々ありました。
地図がないからこそのコミュニケーションや、必然的に周りを見なきゃいけないことでの発見が楽しかったです。
5.4 情報に付いていけない
SNSを見なくなったことで他者の生活が分からなくなります。
SNSを通して入る情報は時として武器になることを知らなかったです。
自分の興味ある分野を調べることが習慣化すると、不本意な情報に触れる機会が減ります。
情報化社会のデメリットにも通ずることであると考えますが、能動的な情報収拾は、その人の関心事にのみ目が引かれます。その結果、環境が固定化されるという悪循環が待っています。初めのうちは楽しめますが、同じような趣味・嗜好のコミュニティほどつまらないものは無いと考えるようになりました。
「何か新しいものと出会える空間ってワクワクする」
と再度認識を改めたことで、初めましてのコミュニティに参加するようになりました。情報についていけないことで疎外感を味合うこともありましたが、一転して考えを変えると面白い出会いが待っています。
6. さいごに
効率化優先の味気ない生活ではなく、温もり溢れた人との生活を送ることができたのは紛れもなく彼のお陰だと信じています。
テクノロジーの発展によって不自由なく生活を送ることができる現代社会に於いて、それらに依存しすぎることへの危惧が生まれました。
何か困ったことが起きても、一度立ち止まって考えるクセをつけた上で、「Hey Siri」ではなく「Hey Mate」をこれからも意識してきたいと思います。