How’s goin guys, It’s Koshin(@k__gx88)
ホストやアイドルなどを応援する推し活の為、消費者金融や奨学金などの借金返済の為、高級車やブランド品で身を包みたい等、様々な理由から人は「お金」を必要とする。
ここでは「夜の仕事に従事する女性」として、貧困に喘いでいる若者の実態に迫る。今回は、都内某所の美容整形クリニックで看護師をしながら、夜はメンズエステ店で働く小野奈緒さん(仮名・25歳)に話を聞いた。
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ボーナスが5,000円の総合病院
「新人なのに日勤時の担当患者数が12人だったんですよ?血圧や点滴と…本当に時間が無くて。それでも先輩の看護師が付いてくれることも殆どなく、ミスは全て自分の責任って感じでした」
そう話す彼女は、2021年に長野の看護学校を卒業してから上京し、埼玉の総合病院にて看護師としてのキャリアをスタートした。僅か1ヶ月という短い研修期間を経て急に現場に放り出されたといい、気軽に質問できる先輩すらいなかったそうだ。
コロナ禍ということで、どこの病院も通常運転というわけにはいかなっただろう。新人といえど1つの戦力であることに変わりはない。まだ2交代制だったのが唯一の救いだったようだが、働いては寝るという生活が一瞬にして過ぎ去っていった。働き始めて5ヶ月目の8月、ようやく社会人として初めてのボーナスが振り込まれたのだが、通帳には「¥5,000」としか記載されていなかった…。
「もちろん『え、何これ』ってなりました。『念のため確認なんですけど…』と師長に聞いてみましたけど、間違っていないの一点張り。一緒に頑張ってきた同期が何人かいましたけど、ボーナスのことが最後の打撃となってしまい退職代行を使って逃げて行きました。人が減ったのもあって、業量は増えていく一方。先輩からの嫌味を言われる頻度が日に日に増していって、しまいにはイジメのような扱いすら受けるようになりました」
ボーナス支給から2ヶ月ほど経った頃、何とか踏み留まっていた彼女はコロナに感染した。止まらない咳と高熱に苦しんでいる中、同期が飛んだという前例もあったためか、毎朝1時間くらいの状況確認という名の引き留め電話が掛かってきたという。流石に師長の人間性が怖くなり、後遺症を装ってフェードアウトした。
食い繋ぐ為にメンエスの世界へ
「病院を辞めてからは家に引き籠ってアニメやドラマを見るだけの生活になりましたね、数ヶ月ほど暮らせるだけの貯金があったので。あと、バイトを探そうにも人間って急に働けないんですよ、半年程とは言え本当に倒れるくらい必死に働いてましたから。それが急に何もしなくてよくなった。怠惰なのは分かってますけど、身体が思い通りに動かなかったんです。動こうにも異常労働や院内でのイジメがフラッシュバックしてパニック障害に陥り、精神科にも通いました。今でも3種類の薬が手放せません。」
親元を離れて一人暮らしをしている彼女にとっては、貯金があると言えども仕事が無いのは死活問題。それでも、人の命を左右する現場、かつコロナという異常事態での激務により、身も心も疲弊したことで本当に貯金が底をつくギリギリまで動けなかった。
何とかしないとと焦り始めた折、友人からメンズエステの存在を教えてもらったという。一般的な風俗と違うとは言え、淫らな格好で客をマッサージするという行為には抵抗しかなかった。それでも日銭というメリットから意を決したという。2022年の年明けだった。
「数日して気づいたんですけど、昼間の方が変な人が多いんですよね。酔っ払いであれば、触ってこようとしても少し注意すれば大抵は大人しくなるんですよ。ほぼレイプのように強引に襲ってきた人もいましたけど、それでも「店と警察に電話する」って叫べば逃げていきます。でも、昼は時間的にも何の仕事をしているのか分からない人が多く、何となく纏ってる空気がオカシイんですよね…」
看護師という職業柄か人とのコミュニケーション自体は苦ではない。とはいえ、ほとんどの客が触りや抜きを要求してくる環境での精神衛生上のストレスは計り知れない。いつしか飯と酒だけが楽しみになり、看護師をしていた頃より7kgくらい太ってしまった。真面目な学生生活を送ってきたのもあり、親には夜の仕事をしていることなど口が裂けても言えなかったそうだ。
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