カボチャパイの人生

Esaay
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How’s goin guys, it’s Koshin(@k__gx88

 

「久し振り」と小箱を携えて笑う彼女が放つ甘い香りが鼻を刺激した。並べられるケーキが僕等の顔を明るくする。

だが、最後の1つが皆の顔色を曇らせた。これしか無かったという台詞が流れていき、誰がこのハズレを担当するのかと皺を寄せながら思案する。御礼を言いつつ醜い顔色で互いを伺いあった。

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冷たい城

 

愛する母を亡くしても父と懸命に生きてきた「シンデレラ」だっだが、父の要らぬ計らいにより、新しく継母と2人の義姉を迎えることになった。父としては、娘に母という存在を与え、さらに彼自身にとっても最愛の者を失った者同士で逆境を乗り越えようと思い決断したに違いない。

父が他界すると、冷ややかで傲慢な継母とブサイクで落ち着きを知らない義姉は本性を顕し、執拗なイジワルを続けた。使用人のように従事させられる「シンデレラ」は、来るか分からない幸福を信じ我慢するしかなかった。

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集団において、個人を中心に捉えがちな人間が意外にも多いと誰しもが感じるだろう。彼らは、他人の痛みや憎悪を理解する能力が欠けており、嫉妬やエゴに執着して目の前が見えてない。

それらとの付き合いにおいて我慢を強いられることに疲れたら、マインドをセットし直す必要がある。

そもそも愛のない時間に身を置くのは無駄でしかなく、一定の距離をとりつつ自身の中の毒と闘う方が幾分もマシである。

誰かに提供された一時の幸せなど、後から何度でも自身の財力を叩けば同等の価値を生むことができる。他人から幸福を享受されることは皆無に等しく、さらには何かを求めてもボーダーライン手前の期待外れという結果も幾分と味わった。

「亡き父よ母よ、己を殺せばイライラしないのであれば、喜んで道化を演じよう」



ただ動くだけ

 

「考えるより、先ずは行動しなさい」といったフレーズを度々耳にする。考えることは何も悪いことではないが、考えれば考えるほど沼にハマって身動きが取れなくなるという経験をしたことが多い為、これには大方賛同している。

熟案が恐怖心を膨らまし、なかなか次のステップが踏めない時、思考を停止させることができれば何かと問題は解決されることを知った。

試験開始の数分前には居ても立っても居られなくなり、トイレの個室に籠っては入ってこない情報を目で追う。ピアノの発表会で順番待ちをしている時、楽譜が呪文のように見えてきて吐き気を催す。

だが、いざ始まってしまえば緊張による強ばりが弛緩され、自ずと集中せざる負えなくなる。グダグタ相対的評価に頭を抱えるといつまでたってもフレーム人間のままでしかない、なんとも面白味のない人生であり、不幸である。

情念に左右されて誰かのマリオネットのように手足を動かすのではなく、目前の氷壁に少しずつ慎重にピッケルを刺しては、落ちないように淡々と山頂を目指すしかない。



 

散々と綴ってみたものの、安月給が故に満足に甘い物を買うことを我慢せねばならんのは事実。よって、余計な人間関係を考えるのは一先ず止めにしては率先してカボチャパイを手に取り、そしてラッキー顔を見せないように努力する他の3人に僕はこう語り掛けた。

「カボチャに含まれる植物繊維はコレステロール値を下げてくれるし、お通じが良くなる」

「高濃度で含まれているビタミンA・B、亜鉛が免疫力を高めてくれる」

するとどうだ、彼女達にとっては、口に運んでいる物体は糖の塊にしか見えなくなってくるだろう。ほら、次回からは、ショートケーキが食べれるかもしれない。いや、もしかしたら4人分のカボチャパイが顔を見せるかもしれない。

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