2. LGBT
最後に「LGBT」に少しばかり触れようと思います。
2015年に渋谷区が同性カップルを「結婚に値する関係」としてパートナーシップ証明書を日本で初めて発行したことは記憶に新しいですよね?
人権という観点から見て数歩も進んだ喜ばしいこの年、実は同時に悲惨な事件も起きています。
2.1 「一橋大学アウティング事件」
概要は、ゲイであることを暴露(アウティング)された一橋大の法科大学院生(当時25歳)が、大学敷地内で転落死したもの。
今年2019年2月27日には、東京地裁が大学側を安全配慮義務違反などから損害賠償請求していた遺族の訴えを棄却しました。
しかしながら、当裁判ではアウティングという行為の本質性に触れておらず、あくまで大学側に転落死の予見性があったか否かが争点となっていました。
法学部であるため当該事件を幾度となく議論してきましたが、アウティングという実体的にはプライバシー侵害ともとれる行為によって自殺に追い込まれた男性側の気持ちを、司法や社会は未だ軽んじていると感じてなりません。
参照 : 弁護士ドットコム
2.2 富山県でのLGBTに対する世論調査からみた現状
昨年末、帰国したての僕の目に或る新聞の見出し記事が飛び込んできました。
「北陸、性的少数者に否定的傾向」
調査によると、北陸は他の地域と比べ同性愛者に嫌悪感を抱く傾向が強く、自身の性的傾向・性自認を周囲に開示しているLGBT当事者の割合が低いことが分かった。
北日本新聞より引用
初めに、北陸のみならず地方の田舎では、「結婚して持ち家にて子を育てる」というような一種の固定概念が未だに根強いと感じることが多いです。
帰省する度に、
「**が結婚した」「**が家を買った」
と耳にタコができるまで聞かされますし、それが最善であるかのような態度を示されます。
周囲に合わせるべきという価値観を持つ人もいれば、他者との違いは悪であるかのような価値観を抱いている人もいます。
単独世帯が多い都会と比較した際、どうしてもLGBTであることをカミングアウトすることへの恐怖や、LGBTに対して色眼鏡をかけてしまう傾向が強いのも一応の理解はできます。
ただ、この調査はオーストラリアという多文化国家で過ごした僕に対して、確かに人と人との繋がりを重要視することは凡ゆる面に於いて必要と感じさせた反面、多様性を持たない姿勢に疑問を抱かせました。
固定概念こそがマイノリティに対し閉鎖的な考えを持つ原因の1つであることは周知ではないでしょうか?
社会の動きや周囲の人間の動きではなく、自分自身がプラットフォームとなれるように考えることが大切なのかもしれません。
2.3 当事者アンケート
僕自身オーストラリアに着いてすぐの頃、英語を話せないことから嘲笑を受けました。
でもその分倍以上の手を差し伸べてもらって強くなれました。
さらに言えば、アジア人への偏見・ドラッグ中毒者への蔑み・原住民への無言の圧といった様な多くの差別を見てきました。
人間は、痛みに気付かない限り、本当の意味で理解し合えないかもしれません。
以下、NHKが行なったLGBT当事者へのアンケートです。
・カミングアウトした相手や人数
・健康への影響
・仕事や住まいでのストレス
など、我々は助け合うために現状を知らなければいけません。
参照 : LGBT当事者アンケート調査 – NHKオンライン
さいごに
性的のみならず、人種や宗教、はたまた拝金的格差などから成る数多くのマイノリティ的存在をもう無視できなくなってきています。
物事の判断基準がトートロジーであること前提にして、多様性を持った考え方をしていく必要があります。
学校・職場などで苦しんでいる人はいませんか?
電車・スーパーなどで助けを求めている人はいませんか?
たとえどんなことがあっても、人としての生き方ができる権利を我々は全員持っています。
みんな違ってみんな良いことを胸に刻んで周囲を見渡した時、「What Would You Do?」