埼玉屈指のディープスポット八潮秘宝館を潜入調査

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How’s goin guys, It’s Koshin(@k__gx88

 

東京と埼玉の県境に位置する八潮市に、知る人ぞ知るディープスポットが存在する。その名も「八潮秘宝館」という。オーナーの兵頭喜貴氏が自宅を改装し、自慢のラブドールたちを始め、古今東西から集まった魅惑品を陳列するミュージアムだ。

前回の記事『ラブドールに魅了され、自宅を秘宝館に改装した男』では、八潮秘宝館オーナーの兵頭氏に焦点を当て、これまでの活動について話を伺った。

続く本稿では、八潮秘宝館の内部写真を中心に、その全貌に迫っていく。

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八潮秘宝館という名前は酒の席で決まったという。

仲間内で家に集まって酒を飲んでいた時、誰かが “ここ秘宝館っぽいね” って言い出したことが発端らしい。現在では20数体のラブドールたちが保管されており、中には他のラブドール愛好家から遺品として譲り受けたものなど訳アリの子も含まれている。また、今となってはサルベージに近い形になってきていると語る。

「最初の5体くらいは自分で買ったんだよ。それらを使って写真活動などをしてたら少しずつ注目が集まっていって、気が付けば知らない人が自分の所有していたラブドールを使ってくれって持ってくるようになった。また、一昨年、大阪に住んでいたラブドール愛好家の友達が亡くなっ たんだけど、そいつが生きてるうちに頼まれて僕が引き取ったんだ」

 

撮影:Koshin (以下同)

 

AmazonなどECサイトの普及により、以前よりも手に入り易くなったラブドール。新規ユーザーは増えているそうだが、例えば中国製のものは良心価格である一方で品質は低い。日本におけるラブドール生産メーカーといえば「オリエント工業¹」が最も有名である。とはいえ、ラブドールに興味関心が薄い人間からすれば、耳馴染みのない名前だ。

ラブドール市場について、こう分析する。

「御徒町にオリエント工業のショールームがあるんだけど、そこでユーザーイベントなんかを開催すれば熱を持った人間が集まって支持が広がるかもしれないと思っている。たしかに2022年5月くらいから『大人の遊園地』と題して今 は1000円で解放しているみたいだけど、それじゃ新規の物見客が来るだけでしょ?実際のところ 1体80万くらいするわけで、中々の値段だから一見さんが購入する可能性は低いわけ」

 

※¹オリエント工業:1977年創業の特殊ボディーメーカー。「心の安らぎ」を得られる女性像の開発を目指し、性処理だけが目的の単なる「ダッチワイフ」ではなく、人と相対し関わり合いを持つことができる「ラブドール」を創ることを理念としている。

 

昔と比較すると規模は縮小しているかもしれないが、今でもオフ会は健在だという。仲間同士で着飾ったラブドールを思い思いに持ってきて、写真撮影会などを行っているそうだ。

「新規顧客を獲得できれば万々歳かもしれないけど、既に所有している人間が新しい良い商品を買うことが重要だよね。それを個々人がPRしていけば、結果として市場も盛り上がると思う。だからこそオリエントには、ヘビーユーザー向けの何かしらの参加型イベントとか催してもらって、娘自慢大会じゃないけど写真を見せ合ったりすれば盛り上がるんじゃないかな…」

 

こちらの女性は別府秘宝館から買い取った蝋人形
中に鋼鉄の芯が入っている為、持ち運びはできないほど重い

 

30年くらい前に発売されていた当時のゾイド
半分くらいは自分で作ったもので、残りの半分は要らなくなったと言う友達から買い取った

 

天井から吊るされた沢山の下着も、ラブドール用に買ったもの
中には使ってくださいって持ってくる客がいるとか

 

かつて病院で使用されていた医療器具や人体模型など
所狭しに作品用の小道具が散りばめられている

 

2018年8月10日、兵頭氏は『金剛寺ハルナとその姉妹 – 大東亜戦役篇秘話』という写真集を出版した。廃墟で撮影された当作品に登場する子たちは、軍服や白衣を身にまとっている。

「小学生の時に飛行機に興味を持ち始めたのが、いわゆる戦争ものを好きになったキッカケかな。雑誌や図鑑などを血眼になって眺めて、飛行機や軍艦のプラモデルを食い入るように制作していたよ。その当時は大和や武蔵といった誰もが憧れるデカい軍艦にしか目が行なかったけど、大人になってからは見方が変わって駆逐艦への愛が止まんなくなったんだよ。“大和なんて何もしてねーじゃねーか” “末端の身にもなれよ”って…社会に出て雑兵の辛さを身を以て味わったわけ(笑)」

 

昔から写真活動メインで使っているチーム
現在この子たちで新しい写真集を作ろうと構想中

 

廃墟の中でラブドールを置いて写真撮影するなんて前代未聞だったという。

「あるとき、どこから聞きつけたのか忘れたけど、韓国の『KBSの科学教育番組』に取り上げられたことがあるんだよね。それが直接の契機になったわけではないけど、フランスやドイツなどの番組にだって出たことがある。表現の自由を尊重しているヨーロッパは番組作りっていう面で日本と決定的に異なっているんだって肌で感じたよ。だってラブドールとSEXしている動画を無修正で流すんだよ?本当にクレイジーだよね」

 

TPという材料で作らた中国製の女の子
金属との相性が悪いから保管する環境によって溶けやすくなる

 

日本に来る外国人観光客向けのメディア『TimeOutTokyo』に載ったことから、外国人観光客が急激に増えたらしい。

「オリエント工業の写真コンクールで入賞したんだけど、その作品を TimeOutTokyo の編集者が見たみたいで声が掛かったんだ。取り上げられて以降、次第に外国の方が来るようになったんだけど、基本的には白人の方が多い印象だね。やっぱり文化が熟しているからかもしれない。多角的にカルチャーを受け入れられる土壌が整っているから、どんどん新しい色んなことに触れてみたいと思うんだと思う」

 

紹介した写真からも判別できる通り、ラブドールだけでなく、数多くの収集品がコンセプトに沿って配置されている八潮秘宝館。さいごに、秘宝館の展望について聞いた。

「僕が手入れできなくなった時、それは秘宝館の閉館を意味するんだよ。こんなの誰も満足に管理できるわけないんだから。死んだら家族に迷惑かけるけど、少しでもそれを減らすために 甥に養子になってもらたんだよ。といっても、まだまだ定期的にコンセプトを変えながら、一般公開を続けるよ(笑)本当は空間ごと化石となって後世に残りたいけどね」

 

<八潮秘宝館>

※所在地:埼玉県 八潮市 古新田1036-2

※入館料:1,000円

個人宅のため来館の際はメールにて予約が必須。また、2023年3月10日より、新しい企画展『Uのオヤジ十三回忌展』の公開が予定されている。詳しい情報は公式ブログを御覧ください。

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